外耳炎

外耳炎の原因

外耳炎は、

1.耳を掃除する
2.
外耳にキズがつく
3.
かゆみが生じる
4.
また、耳を掃除する
5.
さらに外耳にキズがつく
6.
菌などに感染し炎症を起こす
7.
痛みや腫れが生じる

という悪循環に陥って症状がひどくなっていきます。

耳が痛んだり、耳だれが出たりすることで中耳炎と勘違いして来院される方も少なくありません。

外耳炎の状態

耳掃除の際に傷ついてしまった外耳道の皮膚の表面に、細菌や真菌が繁殖して炎症が発生してしまう病気です。 

最初は外耳道の軽い痛みやかゆみから始まり、しだいに夜眠れない程の激しい痛みに変わります。 

酷くなると耳から膿のような液体が出る耳漏(じろう:耳だれ)や、耳が詰まったような耳閉感、耳鳴り、難聴が起こることさえあります。 

外耳炎の中には「外耳道真菌症」に進むケースもあります。 

外耳道真菌症は傷ついた外耳道の表面に真菌というカビの一種が繁殖し、我慢できないぐらいのかゆみが生じます。

このように外耳炎は決して油断できない、厄介な病気なのです。 

再発しやすい

外耳炎は耳かきが癖になっている方ほど治りが悪く、再発もしやすい傾向にあります。 

お風呂に入ったりプールに入った後の耳垢が湿って膨張している時に耳掃除をすると外耳炎になりやすいので、特に耳の中が湿っている時には注意が必要です。

 耳垢

耳垢が作られるのは耳の入り口から2分の1くらい入ったところまでで、それより奥の骨部の重層扁平表皮には耳垢は存在しません。 

また、骨部の重層扁平表皮はとても薄く毳毛も生えていません。

外耳道には皮膚の自浄作用があり、あくびをしたり食べ物を噛んだりという顎の運動によって、耳垢は自然と入り口に移動し、自然に外に出ていくような仕組みになっています。 

しかし不適切に耳掃除することで耳垢が綿棒で奥に押し込まれてしまったり、耳かきなどで奥の薄い皮膚を引っ掻いて傷つけてしまうと外耳炎を起こしてしまう場合があります。

外耳道はまた、音響学的には共鳴腔として入ってきた音声を響かせるという機能を持ちます。 

ところが、不適切な耳掃除で外耳道の皮膚に傷をつけたり、耳垢を奥へ押し込んだりを繰り返すことで徐々に耳垢が固まり、耳をふさぐほどの大きな塊になってしまうことがあります。 

そうなると耳垢が自然に外に排出されなくなり、耳の穴をふさぐことで共鳴腔としての機能を失い、耳の閉塞感、難聴、耳鳴り、自分の声が大きく響いてしまう自声強聴などが生じる「耳垢栓塞(じこうせんそく)」に至ります。

綿棒を使った耳掃除

耳垢の状態には個人差があり、薄いかさぶたのような乾性耳垢と粘土のような湿性耳垢とに分かれ、日本人の約85%は乾性耳垢と言われています。

湿性耳垢の方は乾性耳垢の方に比べて耳垢腺や脂腺の数が多く、耳垢も作られやすく自然排出されにくいのですが、それでも一般的には耳鼻咽喉科で年に23回除去してもらえば支障はなく、日常的に自分で耳の中を触らないようにすることをお勧めします。 

外耳道の皮膚はもともと薄く、外からの刺激に対して弱い部分です。 

耳がかゆくなったからと耳掃除をしすぎると、外耳道を傷つけ、さらにかゆみを生じることになってしまいます。 

色々な症状

急性限局性外耳炎(耳せつ)

耳垢腺、皮脂腺の細菌感染によって入り口付近の外耳道軟骨部に発症します。 

激しく耳は痛み、時には頭頂部や歯にまで痛みが波及することがあります。

炎症が周囲に拡がると悪寒とともに発熱し、耳だぶ周囲のリンパ節が腫脹することさえあります。 

外耳道の皮膚は赤く腫れ上がり、外耳道の内腔が完全に閉ざされて聞こえに影響することもあります。 

耳の穴の入り口付近を押さえたり、耳たぶを引っ張ると痛みが増すのが特徴で、食物を噛むというように耳の穴の前方にある顎関節を動かすと痛みが増すことがあります。 

外耳道湿疹

耳掃除などの物理的な刺激や、急性あるいは慢性中耳炎の経過中に耳漏(じろう:耳だれ)の刺激で外耳道の皮膚に湿疹ができることで、強いかゆみを発症することから始まります。

 徐々に耳たぶや外耳道の入り口が赤く腫れ、びらん、耳だれを生じ、かさぶた、皮膚の角質がボロボロ落ちる落屑(らくせつ)が見られるようになります。 

びまん性外耳炎

外耳道の奥、外耳道骨部にまで生じる炎症で、外耳道湿疹、急性限局性外耳炎、中耳炎の経過中に生じた耳漏などに引き続いて発症します。 

外耳道は赤く腫れ、耳だれや痛みを生じます。

耳の穴の入り口付近を押さえたり耳たぶを引っ張ると痛みが増すのが特徴で、炎症が周囲に拡がると発熱や耳介周囲のリンパ節の腫脹が見られます。 

ひどくなると開口障害や脳神経に影響することさえあります。 

外耳道真菌症

外耳道湿疹に引き続いて発症したり、素人判断による不適切な抗菌剤やステロイド剤の使用により発症してしまうこともあります。 

カビの1種である真菌のかたまりが膜のようになって外耳道骨部や鼓膜面に密着します。 

激しいかゆみや痛み、耳だれ、耳閉感、難聴が主な症状です。 

耳炎の治療

たまった耳垢やかさぶた、菌のかたまりなどを除去して外耳道の消毒をします。 

外耳道は狭く長く曲がっている方もおられるため、耳鏡という専用の器具で外耳道内がよく見えるように視野を確保して、拡大鏡や顕微鏡で観察しながら、耳垢鉗子(じこうかんし)や耳専用の器具でつまんだり、細い吸引管で吸い取ったりして、たまった耳垢やかさぶた、菌のかたまりなどを取り除きます。

耳垢が硬くて取りにくくなっている場合は、お薬で耳垢を軟らかくしてから洗浄・吸引します。 

外耳道を清潔にしたら外耳炎の種類やその程度などに合わせて、抗菌剤やステロイド剤の点耳薬や軟膏を処方します。 

また炎症の程度がきつい場合は内服薬も飲んでいただきます。 

耳の痛みがある場合には、鎮痛剤を服用して痛みを抑えることもします。 

かゆみが強い場合には、ご希望に合わせてかゆみを押さえる内服薬を用いることもあります。 

自宅でできる外耳炎の対処法

耳掃除が原因になっていることが多いので、自宅では耳かきをしない、耳の中を触らないということが大切で、これが最も重要な治療法とも言えます。 

症状が軽快した後も再発防止のために耳かきや綿棒の使用を制限してください。 

健康な方であれば耳垢は自然に剥がれ落ちて外に排出されるので耳掃除を頻繁にする必要はありません。

外耳炎にならないため

耳垢は耳垢腺と脂腺の分泌物や剥離した皮膚の角質、ホコリなどがいっしょにかたまったものです。 

耳垢腺、皮脂腺は外耳道の入り口付近にしか存在しないため、基本的に耳垢は外耳道の奥の方では産生されません。

また、外耳道には自浄作用があり、口を開け閉めする際に動く顎関節(がくかんせつ)の運動に伴って、耳垢は自然と外に排出されるような仕組みになっています。 

それなのに、綿棒で入り口付近の耳垢を奥へ押し込んでしまったり、耳かきで耳の奥の皮膚をキズつけてかさぶたができてしまったりすると、耳垢は自宅では取れない状態になってしまいます。

基本的にはご自宅での耳掃除は必要ないのですが、どうしても習慣でお風呂上がりに耳の中の水分が気になるようであれば、綿棒で入り口付近1cmだけの水分を優しく拭き取ることをお勧めしています。 

決して無理に奥の方まで綿棒や耳かきを入れたり、耳の中の皮膚に強くくっついている耳垢をこそげ取らないようにしてください。

なお、補聴器を使用されている方や、湿性耳垢の方は、耳垢が自然に排出されずに溜まりがちになることがありますので、定期的に受診されて耳内清掃することをお勧めします。

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